3つの赤い線の線引きで助かるのはどの中国不動産業者!?
中国最大級の不動産投資会社である中国恒大問題に端を発する中国不動産市場の動揺が世界経済にも影響を及ぼすのではないかとメディア等で報じられています。
今後の注目は、次の中国恒大は出るのかということで、いわゆる中国政府が2020年の作成した三道紅線と呼ばれる中国不動産 3つのレッドライン、つまりどこまで借金ができるかによって、中国の主要な不動産業者の財務状況を線引きしました。
では、その内訳を検証していきましょう!(ボーダーライン上の戦いと言った印象ですが。。。)
3つのレッドライン(三道紅線)の勝ち組負け組は?
簡単に現状(2021年6月30日現在)を説明すると以下の通りになります。(※華南国は2021年3月31日現在)
3つの赤い線の定義
- 負債対資産比率(除;前受金) 70%以上
- 純負債比率 100%以上
- 現金有利子負債比率 1未満
1.紅線赤い線(負債増加可能額0%)レッドライン越え3本
- Guangzhou R&F(新規広州富力地産)
- Guorui(国瑞置業)
2.オレンジ線(負債増加可能額0%5%以内)レッドライン超え2本
- Evergrande(中国恒大),
- Yincheng International(銀城国際)
3.イエロー線(負債増加可能額0%10%以内)レッドライン超え1本
- Country Garden(碧桂園)
- Sunac(融創中国)
- CIFI(旭輝集団)
- Greentown(緑城房産)
- Zhongliang(中梁控股集団)
- Zhenro正栄地産
- Sinic(新力控股)
- Yuzhou(禹洲地産)
- KWG(合景泰富)
- Times China(時代中国)
- Central China(建業地産)
- Dexin(徳信中国)
- Shinsun(祥生控股)
- Fantasia(花様年)
- Modern Land(当代置業)
- Redco(力高地産)
- Landsea(朗詩緑色)
- Jingrui(景瑞控股),
- Golden Wheel Tiandi(金輪天地)
- LVGEM(緑景中国地産)
- China South City(華南国)
- Aoyuan(中国奥園)
4.グリーン線(負債増加可能額0%15%以内)レッドライン超え0本
- China Overseas(中国海外発展)
- Shimao(世茂)
- China Resourceso(華潤置地)
- Vank(万科企業),
- Longfor(龍湖)
- Jinmao(金茂)
- Ronshine(融信)
- Agile(雅居楽)
- Logan(龍光)
- Kaisa(佳兆)
- Sino-Ocean(遠洋集団)
- China SCE(中駿集団)
- Yuexiu(越秀地産)
- Redsun(弘陽地産)
- Radiance(金輝控股)
- Powerlong(宝龍地産)
- Road King(路勁基建)
- Ganglong(港龍)
- Jiayuan(佳源)
- Dafa(大発)
- Hopson(合生創展)
- Shui On(瑞安房地産)
中国政府の方針としては、健全な財務状況の不動産業者に対しては、むしろ手厚い支援を行っていく可能性についても言及しているので、このような観点に立つと中国の約半数(46%)の不動産業者の経営状況はグリーンラインの問題なしと言えますね。
問題は、リーマンショックに至らないまでも、3つの赤い線の1本超えの46%(オレンジ線)の一部の中堅不動産業者が、恒大の信用不安のあおりを受けて、利払いが出来なかったり、償還不能に陥ったりして、デフォルトに陥ってしまう可能性について色々は報道をされている点ですかね。
例えば、中国主要不動産業者の3つの赤い線のうちのセーフティーゾーン1歩出前の3番目にランクされているイエローラインの中でもFantasia(花様年)やSinic(新力控股)といった利払い不能となったり、償還できない不動産業者が今後も増えてくるのではないかと戦々恐々としている訳です。
その一方で、上記リストには無いですが、Xinyuan Property(キン苑)のようにデフォルト回避している不動産業者もあります。そして、Aoyuan(中国奥園)など、利払いを滞ることなく続けている業者もあります。
また、不動産市場をだけではなく、中国全体に悪影響を及ぶのを防ぐために、中国当局が規制緩和を始める可能性も高いので、しばらくすると市場全体が終息してい行く可能性もありますね。
従って、報道によって信用不安などのネガティブ要素は増幅される一方で、冷静に個々の中国不動産の財務状況を注視していくと、今は一時的に冷え込んでいるが今後、必ず株価上昇や社債価格が正常値に戻る業者を見極めていくとはできると思います。
ただし、アメリカ市場はじめ、いわゆる欧米諸国の市場では最高値に迫る勢いで上昇を続けており、またビットコインETFの上場もスムーズに行われて暗号通貨価格も高騰を続けていることから、そして何よりも中国の金融当局がハードランディングや社会不安を引き起こすような問題に発展させないということを宣言しているので、中国国内の問題に限定されるような風潮で進んできます。
ただし、中国不動産業者が資金調達のために発行するドル建て社債は、いわゆるハイイールド債と言われる5パーセント以上(年利10パーセント以上のクーポン利払いを続ける業者も多い・・・)もの年2回のクーポンの配当を実施する社債の発行を続けることにより、償還を迎えるオフショアのドル建て債の支払いにあて、借金を続けることにより不動産市場を維持してきただけに、中国恒大のドル建てクーポンの利払いが出来ずに、その影響が他の不動産業者に影響し、デフォルト連鎖と言うことになると社債投資家はもちろんのこと、投資信託などを通じて投資している人や、知らず知らずのうちにファンドに組み入れられているケースなどを含めると世界経済への影響はじわじわと出てくる可能性もあります。